
フリーランスの始め方5ステップ|現役12年のライターが徹底解説
「フリーランスの始め方を知りたい」
「フリーランスになるには、何から手をつければいい?」
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは以下のとおりです。
フリーランスの始め方は副業からの5ステップ
フリーランスになるには何を準備するか
フリーランスになったらやる手続き
実績ゼロから案件を取る6つの方法
フリーランス12年の収入のリアル
結論として、いきなり会社を辞める必要はありません。
勤めたまま副業として小さく始め、副業の収入が本業を超えてから独立を検討すれば、収入が途切れる期間を作らずに済みます。
とはいえ、何から手をつければいいかわからないですよね?
この記事を読むことで、今日やることから独立後の手続きまで、進める順番がわかります。
フリーランス歴12年のライターの単価と年収の推移も公開しているので、最後まで読んでみてください。
フリーランスとは
フリーランスとは、会社に属さず、案件ごとに契約して仕事を受ける働き方です。
勤務先が1社に固定されておらず、Webライティングやデザインなどのスキルを企業に提供して報酬を受け取ります。
フリーランスになるには、まず個人事業主・会社員との違いを知っておきましょう。
個人事業主との違いは税務上の区分を指すこと
個人事業主との違いは、税務上の区分を指す言葉であることです。
フリーランスは働き方の呼び方で、会社に雇われず自分で仕事を受けている人を広く指します。
一方の個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を行っている人のことです。
2つの違いを以下にまとめました。
比較軸 | フリーランス | 個人事業主 |
|---|---|---|
言葉の性格 | 働き方の呼び方 | 税務上の区分 |
使われる場面 | 働き方や契約の説明 | 税金の申告や手続き |
対象になる人 | 会社に雇われず自分で仕事を受ける人 | 法人を設立せず個人で事業をする人 |
もう一方との関係 | 法人を作らずに働くなら個人事業主にもあたる | 会社に属さず働くならフリーランスでもある |
副業でWebライティングの案件を受け始めた段階でも、個人で事業を続けているなら個人事業主にあたります。
呼び方が変わるだけで、会社に属さず案件ごとに契約する働き方そのものは変わりません。
会社員との違いは雇用契約を結ばないこと
雇用契約を結ばず、案件ごとに契約して仕事を受けるのが、会社員との違いです。
雇用されていないため、勤務時間や勤務地の指示を受けずに、自分で仕事の進め方を決めます。
主な違いを以下にまとめました。
比較軸 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
契約の形 | 会社との雇用契約 | 発注者との案件ごとの契約 |
仕事の受け方 | 会社からの割り振り | 自分で選んで応募・受注 |
働く時間と場所 | 勤務時間と勤務地の指定あり | 納期の範囲で自分で決める |
収入の決まり方 | 毎月決まった給料 | 受注した案件の報酬の合計 |
例えばWebライティングの案件を1件受けたときも、契約するのは記事の納品までで、次の依頼が続くかは仕事の内容次第です。
雇用の後ろ盾がない代わりに、受ける仕事も働く時間も自分で決められるのがフリーランスの働き方です。
フリーランスの職種の選び方
在宅で始められるフリーランスの職種を5つ挙げました。
ライター
動画編集
デザイン
エンジニア
オンライン秘書
必要なスキルと収入の目安は職種ごとに違います。
1つずつ解説していきます。
未経験ならライターから始めると挫折しにくい
ライターは、未経験から始めても挫折しにくい職種です。
文字を入力できる道具があればすぐに書き始められ、ソフトの操作を覚える段階でつまずかないためです。
以下の★の数は、仕事の難易度として、作業を始めるまでに覚えるものの量を表しています。
★1つは当日から作業でき、★4つはソフトの習得に1〜3ヶ月かかる水準です。
項目 | 内容 |
|---|---|
仕事内容 | 検索から読まれる記事・体験談記事の執筆 |
必要なスキル | 読者の疑問に答える構成の組み方と情報の調べ方 |
仕事の難易度 | ★★★☆☆ |
収入相場 | 単価の目安:1文字1円〜(クラウドワークスの発注相場) |
発注相場は依頼する側が支払う金額です。
例えばクラウドソーシングで仕事を受ける場合は、ここからシステム利用料を引いた額が手元に残ります。
実績がないうちは、自分のブログに記事を2〜3本公開しておくと、応募のときに文章そのものを見てもらえるでしょう。

ちなみに、販売の仕事を続けながら副業でライターを始めたフクダさんは、目標だった月5万円を超え、今では月7〜8万円を安定して稼いでいます。
そこまでには1年ほどかかったそうです。
参考:クラウドワークス アカデミー|フクダさんのインタビュー
1本目から高い単価はつきませんが、書いた記事が増えるほど提案に使える材料もそろっていくでしょう。
参考記事:Webライターの始め方|未経験者が副業で収益化する8ステップ
道具をそろえずに今日から手をつけられるので、最初に選ぶ職種の候補に入れやすいです。
動画編集はスキル習得に時間がかかるが案件は多い
編集ソフトの操作を覚えるまでに時間はかかるものの、YouTube向けの長編とSNS向けの短編の両方で募集が動いているのが動画編集です。
尺の長さで求められる編集の内容が違うので、どちらかに絞って学ぶ人もいます。
項目 | 内容 |
|---|---|
仕事内容 | 素材のカット編集・テロップとBGMの挿入 |
必要なスキル | 編集ソフトの基本操作と動画の尺の調整 |
仕事の難易度 | ★★★★☆ |
収入相場 | 単価の目安:YouTube動画1本8,000円〜・短編動画1本3,000円〜(前述の発注相場) |
ソフトの習得に1〜3ヶ月かかるので、副業として始めるなら学習にあてる時間を先に確保しておくと進めやすいです。
参考記事:初心者向け動画編集副業の始め方ロードマップ|先輩たちの体験談あり
練習用の素材で1本仕上げて公開しておけば、受注の実績がなくても編集の腕を見てもらえます。

本業で経理をしながら副業で動画編集をしているminaさんの最初の単価は、完成尺約20分で2,000円でした。
それでも受注を重ね、半年で月5万円を安定して稼げるようになっています。
参考:クラウドワークス アカデミー|minaさんのインタビュー
学ぶ期間を見込んでおける人にとっては、募集の幅の広さが選ぶ理由になるでしょう。
デザインは自分の作品を作っておく
デザインは、応募に使える作品がそろうまでに時間がかかりやすい職種です。
発注者は過去の制作物を見て依頼するかを決めるため、実績のない段階では自分で作った作品を用意しておく必要があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
仕事内容 | バナー・ロゴ・Webサイトのデザイン制作 |
必要なスキル | デザインソフトの操作と配色・文字組みの基本 |
仕事の難易度 | ★★★★☆ |
収入相場 | 単価の目安:バナー作成5,000円〜・ロゴ作成3万円〜・Webデザイン1ページ5万円〜(前述の発注相場) |
まずはバナーのように1件あたりの作業時間が短いものから受けてみてください。
架空の店舗や商品を題材にした作品でも、配色や文字の組み方は見てもらえます。

学校の先生から副業でバナー制作を始めた平野アンジュさんは、講座の課題で作った作品をまとめてポートフォリオにしました。
3ヶ月後には継続案件を受けられるようになり、今もコンスタントに月5万円ほどの副業収入があるそうです。
参考:クラウドワークス アカデミー|平野アンジュさんのインタビュー
まずは自分の作品を作る時間を取れるかを確認してみてください。
エンジニアは前職の経験があると独立しやすい
実務でシステム開発やWebサイトの制作に関わった経験があると、独立しやすいのがエンジニアです。
担当した工程や納品した成果物が、そのまま提案のときの実績として使えます。
項目 | 内容 |
|---|---|
仕事内容 | Webサイトの構築・コーディング・業務ツールの開発 |
必要なスキル | プログラミング言語と開発環境の実務経験 |
仕事の難易度 | ★★★★★ |
収入相場 | 単価の目安 |
案件ごとに規模が違うため、月の収入は受ける件数によって上下します。
開発の経験がない人は、表計算ソフトの作業を自動化する小さな依頼から入ってみてください。
前職の経験を活かせる人なら、1件あたりの金額が大きい案件を最初から狙えます。
オンライン秘書は事務の経験をそのまま活かせる
オンライン秘書は、会社で担当していた事務の経験をそのまま仕事にできます。
依頼される作業がメールの返信・日程の調整・経費の入力など、事務職の日常業務と重なるためです。
項目 | 内容 |
|---|---|
仕事内容 | メール対応・日程調整・請求書や経費の入力 |
必要なスキル | 表計算ソフトの基本操作と報告・連絡の丁寧さ |
仕事の難易度 | ★★★☆☆ |
収入相場 | 単価の目安:1時間1,200円〜(秘書業務)・1,500円〜(経理・会計・事務)(前述の発注相場) |
報酬が時間あたりで決まる案件では、稼働の時間を先に決めてから受けると生活のリズムを崩さずに済みます。
参考記事:オンライン秘書とは?仕事内容と未経験からの始め方3ステップを解説
平日の夜だけ、週に3日だけの条件で受けられる依頼もあります。
今の仕事で身につけた事務の作業を活かしたい人は、最初の職種として選んでみてください。
フリーランスとして働くメリット
フリーランスとして働くメリットは、以下の4つです。
目覚まし時計をかけずに起きられる
働く時間と場所を自分で決められる
成果がそのまま収入に反映される
定年がなく何歳でも働き続けられる
収入や働く時間だけでなく、朝の起き方や年齢との向き合い方まで違ってきます。
参考記事:フリーランスに向いている人の特徴11選|適性診断の方法も解説
1つずつ解説していきます。
目覚まし時計をかけずに起きられる
フリーランスになると、朝に目覚まし時計をかけずに起きられます。
出社の時刻が決まっておらず、始業に合わせて無理に起きる必要がないためです。
※ただし、これは会社を辞めて本業をフリーランスに切り替えたあとの話になります。

フリーランス歴12年のライター・佐藤誠一さんが独立して一番良かったと挙げるのが、目覚まし時計をかけなくてよくなったことだそうです。
目覚まし時計がなくても7時台、遅くとも8時台には起きられるそうです。
保険営業として毎日3〜5件のアポをこなしていた頃は、決まった時刻に起きて出社する毎日でした。
強制的に起こされずに1日を始められるのは、会社員では得にくいフリーランスの魅力です。
働く時間と場所を自分で決められる
働く時間と場所を自分で決められるのも、フリーランスのメリットです。
決まった勤務時間や出社場所がなく、納期までに成果物を届ければ進め方は任されるでしょう。
例えば、以下のような働き方ができます。
平日の昼に役所や病院へ行く
通勤ラッシュを避けた自宅での作業
集中しやすい時間帯に合わせた作業
帰省先や旅行先での作業
1日の予定を自分で組み立てられるため、生活のリズムに合わせて仕事を入れられます。
働く場所の制約がなくなる分、通勤に使っていた時間も自分の仕事や生活に回せるでしょう。
成果がそのまま収入に反映される
フリーランスは、出した成果がそのまま収入に反映されます。
毎月決まった額の給料ではなく、納品した仕事の単価と本数の合計が報酬になります。
例えば、文字単価1円のライティング案件を受けた場合の計算は以下のとおりです。
項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
1記事あたりの報酬 | 3,000字 × 1円 | 3,000円 |
月5本を納品 | 3,000円 × 5本 | 1.5万円 |
月10本を納品 | 3,000円 × 10本 | 3万円 |
※クラウドソーシングの発注相場をもとに、文字単価1円・1記事3,000字で計算した目安です。
単価を上げたり受ける本数を増やしたりした分が、そのまま収入の増加につながります。
一般的な企業のような評価や査定を待たずに、自分の裁量で収入を伸ばしていけます。
定年がなく何歳でも働き続けられる
フリーランスは定年がなく、体力と仕事が続く限り何歳でも働き続けられます。
会社の就業規則で退職の年齢が決まるわけではなく、契約が続く限り仕事を受けられます。
年齢を重ねても続けやすい理由は以下のとおりです。
退職する年齢が決まっていない
積み上げた実績が評価につながる
仕事量を体調に合わせて調整できる
ただし、年齢を重ねても仕事が途切れないかは、求められるスキルを更新できるかで決まります。
学び続ける姿勢があれば、年齢を理由に仕事を手放す必要はありません。
フリーランスとして働くデメリット
働き方が自由になる一方で、フリーランスには会社員のときになかった負担もあります。
主なデメリットは以下のとおりです。
毎月の収入額が読めず生活設計しにくい
有給も退職金もなく休むと収入が止まる
確定申告を自分でする必要がある
仕事を受けすぎて休みがなくなりやすい
デメリットも1つずつ解説していきます。
毎月の収入額が読めず生活設計しにくい
フリーランスの収入は毎月同じ額にならず、生活の予定を立てにくいです。
受注した案件の本数や納品のタイミングによって、月ごとの入金額が上下します。
例えば、3,000字の記事を1本3,000円で受けているWebライターの収入例は以下のとおりです。
月 | 収入の例 |
|---|---|
4月 | 3万円(10本を納品) |
5月 | 4.5万円(15本を納品) |
6月 | 1.5万円(5本に減る) |
同じように働いていても、クライアントの予算や記事の公開スケジュールによって依頼の本数は増えたり減ったりします。
家賃や保険料のように毎月決まって出ていくお金がある人ほど、収入の増減に生活が振り回されやすくなります。
有給も退職金もなく休むと収入が止まる
休んだ日の分だけ収入が減るのも、フリーランスのデメリットです。
雇われて給与を受け取る働き方ではないため、休んだ日を補ってくれる仕組みがありません。
会社員にある制度が、フリーランスではどうなるのかを以下にまとめました。
会社員にある制度 | フリーランスの場合 |
|---|---|
有給休暇 | 休むと報酬が止まる |
ボーナス | 業績が良くても上乗せなし |
退職金 | 辞めても支給なし |
病気やけがで休んだときの保障 | 働けない間の収入保障なし |
納期を動かせない仕事なら、休んだ分の作業はあとから自分に返ってきます。
休んだ期間の収入をだれも補ってくれないのは、独立する前に知っておきたい部分です。
確定申告を自分でする必要がある
フリーランスは、1年間の所得と税額を自分で計算して申告します。
勤務先が年末調整で税額を確定してくれるわけではありません。
会社員が副業として始めた場合も、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると申告が必要になります。
参考:国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
1年のうちに自分でやるのは以下のとおりです。
売上と経費の記録
領収書・請求書の保管
帳簿づけと決算書の作成
申告書の作成と提出
所得税・住民税の納付
独立して本業にした場合は、所得20万円の線引きはなくなります。
売上から経費を引いた金額が所得で、そこから基礎控除などを差し引いてもまだ所得が残る年は申告の対象です。
どちらの立場でも、売上と経費の記録は開業した年から始まります。
案件の合間に帳簿と向き合う時間まで、自分で確保しなければなりません。
仕事を受けすぎて休みがなくなりやすい
受けられる仕事の量を自分で決められる分、働きすぎて休みがなくなりやすいです。
作業量の上限を決めてくれる上司がいないため、依頼が重なった時期はそのまま抱え込みがちになります。
先ほど紹介したフリーランスライターの佐藤さんも、仕事を受けすぎて休みがなくなった経験が何度もあるそうです。
半年の間で休みが1日だけの時期も経験しています。
どれくらいの量を受けるかは、12年目の今でも考え続けていることだと話しています。
働く時間の上限を決める人がいないのは、フリーランスならではの難しさです。
フリーランスになるには何を準備するか
フリーランスになるには、会社員でいるうちに済ませておきたい準備があります。
独立する前に手をつけておきたいのは以下の4つです。
生活費の半年分を目安に貯金する
引っ越しは退職前に済ませる
クレジットカードは在職中に申し込む
仕事を紹介してくれる人とつながっておく
いずれも、会社員としての収入や勤務先があるうちのほうが進めやすい準備です。
1つずつ解説していきます。
生活費の半年分を目安に貯金する
独立する前の貯金は、生活費の半年分が1つの目安です。
独立してすぐに会社員時代と同じ収入へ届くとは限らず、その間も家賃や食費は出ていきます。
例えば、毎月20万円で生活している場合の内訳は以下のとおりです。
費目 | 月額の目安 | 半年分 |
|---|---|---|
家賃 | 7万円 | 42万円 |
食費 | 4万円 | 24万円 |
水道光熱費 | 1.5万円 | 9万円 |
通信費 | 1万円 | 6万円 |
社会保険料・税金 | 4万円 | 24万円 |
日用品・交際費 | 2.5万円 | 15万円 |
合計 | 20万円 | 120万円 |
前述の佐藤さんは貯金0円のまま独立し「けっこうリスキーなスタートだった」と振り返っています。
貯金がない状態からの独立は勧めていません。
まずは自分の生活費を書き出し、その半年分が貯まるまでは会社員を続けながら準備してみてください。
引っ越しは退職前に済ませる
引っ越しの予定があるなら、退職する前に契約まで済ませておきましょう。
賃貸の入居審査では収入の安定性を見られるため、会社員のうちのほうが部屋を借りやすいです。
佐藤さんも、独立する直前に引っ越して部屋を借りておきました。
独立してからでは選べる物件が少なかったはずだと、あとから振り返っています。
また、独立後に広い部屋へ移ろうとした際は、賃貸の審査に落ちたことがあるそうです。
住まいを先に決めておけば、独立した直後は仕事だけに集中できます。
クレジットカードは在職中に申し込む
クレジットカードは、会社員として働いているうちに申し込んでおくと審査を通しやすいです。
カードやローンの審査では勤務先と収入の安定性を見られるため、独立後は通りにくくなる可能性があります。
在職中に申し込んでおきたいものは以下のとおりです。
仕事用と生活用のクレジットカード
住宅ローンや自動車ローンの申し込み
スマートフォンの分割払いの契約
独立してから申し込むと、収入の実績を証明する書類を求められて手続きが長引きやすいです。
毎月の支払いに使うカードは、退職を決めた時点で申し込んでおきましょう。
仕事を紹介してくれる人とつながっておく
会社員のうちにやっておきたいのが、仕事を紹介してくれる人とのつながり作りです。
独立した直後は実績がなく、最初の1件をどこから受けるかで手が止まりやすいためです。
会社員のうちに関係を作っておきたい相手を、以下にまとめました。
独立して働いている先輩や同業者
仕事で会う取引先の経営者
前職の同僚や上司
佐藤さんは、保険営業だった時代に経営者の知り合いをもっと作っておくべきだったと振り返っています。
当時は顧客の9割が個人で、法人とのつながりが薄かったそうです。
会社員のうちに関係を作っておけば、独立してから声をかけやすくなります。
退職の前に、近況を気軽に伝え合える関係まで作っておくと安心でしょう。
フリーランスの始め方|副業からの5ステップ
フリーランスになるには、会社に勤めたまま副業として始めるのが無理のない進め方です。
副業から独立までの流れは以下のとおりです。
副業にする仕事を1つに決める
必要なスキルをAIを使いながら学ぶ
副業として月1万円の受注を目指す
継続案件を増やして収入を安定させる
副業収入が本業を超えたら独立を検討する
いきなりの独立はリスクが高く、収入が途切れる期間を作りかねません。
1つずつ解説していきます。
1. 副業にする仕事を1つに決める
副業として取り組む仕事は、最初に1つだけ決めてください。
複数を同時に始めると学ぶ時間が分散し、どれも実績を作れないまま終わりやすいためです。
1つに絞るときの判断基準は以下のとおりです。
平日の夜や休日に手をつけられるか
前職の経験や知識を活かせるか
未経験可の募集が見つかるか
3つとも当てはまる仕事が見つかれば、副業のスタートでつまずきにくくなります。
迷ったときは、一番長く続けられそうなものを1つ選んでみてください。
2. 必要なスキルをAIを使いながら学ぶ
教材を最後まで読んでから始めるのではなく、作りながらAIに聞いて埋めていくのが、必要なスキルの学び方です。
先ほど紹介したフリーランスライターの佐藤さんは、AIを勉強する優先度はかなり上げるべきだと話していました。
AIを中心に置くと、やりたいことへの到達スピードが速くなります。
つまずきやすい場面と、そのときのAIへの聞き方を以下にまとめました。
つまずく場面 | AIへの聞き方 |
|---|---|
用語の意味がわからない | その用語を初心者向けに言い換えてもらう |
何から手をつけるか決まらない | 1週間分の学習の順番を出してもらう |
作ったものの良し悪しがわからない | 改善点を3つ挙げてもらう |
募集の条件が読み解けない | 条件を噛み砕いて必要な作業を挙げてもらう |
もう1つ欠かせないのが、手を動かす量です。

中小企業診断士やWebライターなど複数の仕事をもつ高千穂香織さんは、動画編集を始めた頃、1本作るのに2時間半かかっていました。
それでも続けるうちに1本40分ほどまで縮んだそうです。
量をこなすうちに質が変わると、本人も振り返っています。
3. 副業として月1万円の受注を目指す
最初の目標は、副業で月1万円の受注に置いてください。
本業を続けながらでも届く金額で、最初の実績を作るのにちょうどいい目標です。
1件目を受注するまでの流れを紹介します。
クラウドソーシングに無料登録する
プロフィールと実績の欄を埋める
未経験可の募集を探す
提案文を送って応募する
受注した仕事を納期どおりに納める
クラウドソーシングとは、仕事を頼みたい企業と働きたい個人をつなぐサービスです。
例えば、1文字1円の案件なら3,000字の記事1本で3,000円になり、月に3〜4本納品できれば1万円に届きます。
実績がない最初のうちは、単価が低い案件でも受けて数をこなしていきましょう。

取材ライターとして活動するみさとさんは、目標にしていた月5万円を半年で達成しています。
参考:クラウドワークス アカデミー|みさとさんのインタビュー
実績がたまってきたら、継続してくれる取引先から単価を上げていってください。
まずは1万円を受け取るところまで進むと、副業として続けられる手応えがつかめるでしょう。
4. 継続案件を増やして収入を安定させる
単発の仕事を1件ずつ受けるより、毎月続く案件を増やすほうが収入は安定します。
継続案件が数本あれば、翌月の売上を見通したうえで受ける本数を調整できます。
継続につながるやり方を以下にまとめました。
やること | なぜ効くか |
|---|---|
納期より1日早く納品する | 発注者に確認と修正の余裕が生まれる |
納品時に次の依頼を相談する | 次の仕事を先に押さえてもらえる |
同じジャンルの案件を集める | 調べ直す手間が減り1本の作業が軽くなる |
受ける本数を月ごとに決める | 納期遅れによる信用の低下を防げる |
毎月の売上が読めるようになると、本業を続けながらでも副業の収入を積み上げられます。
5. 副業収入が本業を超えたら独立を検討する
副業の収入が本業の収入を超えたら、独立を検討する段階に入ります。
本業の給与がなくなっても、副業の売上で生活を回せる見込みが立つためです。
独立を決める前に、次の項目を確認しておきましょう。
本業の収入を超えた月が続いているか
生活費と税金を払える金額か
継続案件が複数の取引先にあるか
3つがそろっていないうちは、副業を続けながら受注を増やしていく時期です。

銀行員だったさえさんは、動画編集を始めて2ヶ月で月5万円に届き、1年後には銀行員時代の月収に並びました。
そのタイミングでフリーランスへ転身しています。
また、前述の佐藤さんは貯金0円で独立していますが、これから始める人には「断然、副業から」と勧めています。
まずは副業として小さく始めて、収入が育ってから独立を考えても遅くありません。
フリーランスになったらやる手続き
会社を辞めたあとは、税金と社会保険の手続きを自分で進める必要があります。
やる手続きは以下のとおりです。
開業届は確定申告の期限までに出す
青色申告承認申請書は開業から2ヶ月以内に出す
健康保険は任意継続と国民健康保険を比べて選ぶ
国民年金は退職の翌日から14日以内に切り替える
事業用の銀行口座を生活費の口座と分ける
期限が決まっているものが多く、退職日が決まった時点で日程を押さえておくと慌てずに済みます。
1つずつ解説していきます。
開業届は確定申告の期限までに出す
開業届は、事業を始めた年分の確定申告の期限までに提出します。
開業届とは、事業を始めたと税務署へ知らせる書類のことです。
提出先と提出時期を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
提出する書類 | 個人事業の開業・廃業等届出書 |
提出先 | 納税地を所轄する税務署 |
提出時期 | 事業を始めた日が属する年分の確定申告の期限まで |
あわせて出す書類 | 青色申告承認申請書 |
確定申告の期限は原則として翌年の3月15日で、その日が土日祝にあたる年は翌開庁日まで延びます。
年内に始めた事業は、その日までに届け出ることになります。
ただし青色申告承認申請書のほうは期限が別なので、開業したら2枚まとめて早めに出しておくと安心でしょう。
青色申告承認申請書は開業から2ヶ月以内に出す
開業の日が1月16日以降であれば、青色申告承認申請書の提出期限は開業の日から2ヶ月以内です。
青色申告(帳簿を付けて申告する代わりに控除を受けられる制度)は、承認申請書を出していない年には使えません。
提出時期と控除額の条件を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
提出時期 | 3月15日まで(開業の日が1月16日以降は開業の日から2ヶ月以内) |
控除額65万円の条件 | 電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告 |
控除額55万円の条件 | 正規の簿記の原則による記帳と、貸借対照表・損益計算書の添付 |
控除額10万円の条件 | 65万円・55万円の条件に当てはまらない場合 |
控除額は帳簿の付け方と申告の方法で変わるため、開業の時点でどの金額を狙うかを決めておきます。
独立して初めての確定申告から青色申告を選べるよう、期限内に出しておいてください。
健康保険は任意継続と国民健康保険を比べて選ぶ
退職後の健康保険は、前の勤務先の任意継続と国民健康保険のどちらかを選んで加入します。
任意継続は、退職後も前の勤務先で加入していた健康保険を、自分で保険料を払って続ける仕組みです。
2つの違いを以下にまとめました。
比較軸 | 任意継続 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
加入の要件 | 退職日までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上 | 他の健康保険に加入しない人 |
手続きの期限 | 退職日の翌日から20日以内 | 退職日の翌日から14日以内 |
加入できる期間 | 2年間 | 次の健康保険に入るまで |
保険料の決まり方 | 退職時の標準報酬月額をもとに算定・全額を自分で負担(上限あり) | 前年の所得をもとに算定 |
参考:全国健康保険協会|任意継続
参考:厚生労働省|国民健康保険の加入・脱退について
国民健康保険の保険料は、住んでいる市区町村の窓口で試算してもらえます。
退職日が決まったら両方の保険料を比べ、任意継続の期限である20日以内に決めましょう。
国民年金は退職の翌日から14日以内に切り替える
会社を辞めて厚生年金から外れたら、退職日の翌日から14日以内に国民年金へ切り替えます。
届出をしないまま日が過ぎると、保険料が未納の期間として残ってしまうためです。
届出の内容を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
届出先 | 住所地の市区役所または町村役場 |
届出の期限 | 退職日の翌日から14日以内 |
届出をする人 | 退職して厚生年金の加入者でなくなった人 |
必要なもの | 基礎年金番号通知書または年金手帳・本人確認書類(退職直後は離職票など資格喪失日がわかる書類を求められる場合あり) |
厚生年金に上乗せされていた分がなくなり、将来受け取る年金額は会社員のときより少なくなります。
その分をどう補うかは、収入が安定してきた段階で考えていけば間に合います。
市区町村の窓口へ行く日を退職前に決めておくと、切り替えの遅れを防げるでしょう。
事業用の銀行口座を生活費の口座と分ける
事業用の銀行口座は、生活費を出し入れする口座と分けておきましょう。
報酬の入金と経費の支払いが1つにまとまり、確定申告のときに取引を追いやすくなります。
分けておくと、次のものを管理しやすくなります。
報酬を受け取る銀行口座
経費の支払いに使うクレジットカード
領収書やレシートの保管場所
独立してすぐは取引の数も少ないので、まずは新しい口座を1つ作るところから始めれば十分です。
開業の手続きと同じ時期に口座を用意しておくと、最初の報酬が振り込まれた時点からお金の流れを追えるようになります。
実績ゼロから案件を取る6つの方法
実績ゼロの状態から抜け出すには、まず1件目の受注が必要です。
実績がない状態から案件を取る方法は以下のとおりです。
クラウドソーシングは案件が多く応募しやすい
提案文には前職の経験を書いて差をつける
エージェントは経験者なら案件を紹介してもらえる
紹介は単価が上がりやすい
SNSの発信は時間がかかるが依頼につながる
直接営業は営業未経験の人には向かない
窓口ごとに案件の量も単価も違うので、自分の経験に合うものから試してみてください。
1つずつ解説していきます。
クラウドソーシングは案件が多く応募しやすい
クラウドソーシングは、未経験可の枠が常設されているので、実績がない段階から応募できます。
サイトに並んだ募集へ自分から提案を出す仕組みのため、経歴や実績を問わずに手を挙げられます。
案件の量と単価の目安を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
案件の量 | 未経験可の募集も掲載されている |
単価の目安 | Webライティングで1文字1円〜 |
向いている人 | 実績がなく最初の1件がほしい人 |
先ほど紹介したフクダさんも、最初の頃は自分が何を得意とするかわからず、ジャンルを問わずたくさんの案件に応募したそうです。
実績がない最初のうちは金額の小さい案件でも受け、納品の実績がたまってから単価の高い募集に応募していく順番です。
最初の1件を取る場所と割り切って使うと、実績ゼロの状態から抜け出しやすくなります。
参考記事:クラウドワークスの手数料の計算方法|受取金額の早見表と単価設定のコツ【2026年版】
募集の多さを入り口として使いながら、実績と単価を少しずつ積み上げていきましょう。
提案文には前職の経験を書いて差をつける
提案文で差がつくのは、その職種での実績ではなく前職の経験です。
実績がない以上、発注者が判断できる材料はこれまでのキャリアだけになるためです。
佐藤さんは保険営業の出身で「保険業界にいたので金融系に強い」「営業をやっていたので営業系の記事を書ける」と提案文に書いていたそうです。
例えば、保険の営業を経験した人がライティングの募集に応募するなら、提案文は以下のように書けます。
はじめまして。◯◯と申します。
「金融ジャンルのSEO記事執筆」の募集を拝見し、応募いたしました。
3,000字程度の記事を、構成の作成から執筆まで対応できます。
前職では保険の営業を7年担当し、保険商品の仕組みや契約者が迷いやすい部分を毎日説明してきました。
金融系の記事であれば、読者がつまずく箇所を想像しながら書けると思います。
稼働は平日の夜に2時間、土日に5時間ほど取れるため、週2本のペースで納品できます。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
提案文に書く項目は以下のとおりです。
応募した募集のタイトル
対応できる作業の範囲
前職で担当していた業務
1週間に稼働できる時間
4つを埋めるだけで、同じ文面を送り回している応募文とは中身に差がつきます。
先ほど紹介したminaさんも、年金や社会保険を解説する動画編集の案件で、たまたま取得していたFPの資格をアピールしました。
学び系の動画を作りたいと熱意を伝えたことが、初案件につながりました。
その職種での実績がなくても、前職の経験を書き添えた提案文なら、実績ゼロの段階でも選ばれるでしょう。
エージェントは経験者なら案件を紹介してもらえる
エージェントは、同じ職種の実務経験がある人に案件を紹介してくれるサービスです。
企業からの依頼をエージェントが受けて条件に合う人へつなぐ仕組みのため、登録時に経歴やスキルを確認されます。
案件の量と単価の目安は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
案件の量 | 実務経験を条件にした案件が中心 |
単価の目安 | 案件による(稼働時間で変動) |
向いている人 | 本業と同じ職種で独立する人 |
実績がないまま登録しても、紹介まで進まない場合があります。
一方で、本業のエンジニア・デザイナーとしての経験がそのまま条件に当てはまるなら、副業の段階から相談できるでしょう。
未経験の職種で始める人は、他の窓口で実績を作ってから登録を検討してみてください。
紹介は単価が上がりやすい
単価が上がりやすいのは、知り合いや前職の取引先から仕事を回してもらう紹介の経路です。
募集に大勢が一斉に応募するのではなく、信頼のある状態から話が始まります。
紹介の経路の特徴を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
案件の量 | つながっている人の数次第 |
単価の目安 | クラウドソーシングより高くなりやすい |
向いている人 | 前職の取引先や同僚と連絡が取れる人 |
先ほどの佐藤さんの最初の案件も紹介でした。
保険業界の出身だったため、人脈の広い保険のセールスパーソンを頼り、そこから経営者を紹介してもらったそうです。
紹介してもらう法人の規模がだんだん拡大するにつれて、1件あたりの単価も上がっていきました。
実績ゼロのうちは声がかかりにくいものの、1件ずつ納品を重ねると次の紹介につながっていきます。
SNSの発信は時間がかかるが依頼につながる
SNSの発信は、依頼が届くまでに時間がかかる代わりに、続けるほど仕事の相談が来やすくなります。
投稿を見た人が仕事を頼むまでには、書けるジャンルや仕事への姿勢を知ってもらう期間が必要になります。
案件の量と単価の目安を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
案件の量 | 発信を続けた期間次第 |
単価の目安 | 案件による(発注者と直接やり取り) |
向いている人 | 学んだ内容や実績を公開できる人 |
フリーランスライターの佐藤さんは12年目の現在も、クラウドソーシング・SNS・紹介の3つからほぼ同じ比率で案件を受けています。
1つの経路だけに頼らず、いろいろな窓口をもっておくのが大事だと話しています。
すぐに依頼が来なくても、案件をこなしながら発信を続ければ、受注の窓口をもう1つ増やせるでしょう。
直接営業は営業未経験の人には向かない
企業へメールや電話で売り込む直接営業は、営業の経験がない人には向きません。
送り先を自分で探し、断られても続ける進め方になるため、慣れていないと成果が出る前に消耗しがちです。
直接営業の特徴は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
案件の量 | 送り先を自分で探す必要がある |
単価の目安 | 案件による(条件は自分で提示) |
向いている人 | 営業の実務経験がある人 |
佐藤さんも、初心者が失敗しやすい進め方として、いきなり企業へ営業をかける方法を挙げていました。
営業に自信がないうちは、募集が並んでいる窓口から応募して、受注できる案件を1つずつ増やしていきましょう。
フリーランス12年の収入のリアル
フリーランス歴12年の佐藤さんが、独立してから実際にいくら稼げるようになったのかを数字で見ていきます。
最初の案件は月2.5万円だった
単価は3年目に月30万円まで上がった
年収は4年目に700万円を超えた
大口案件の終了で収入が月15万円まで落ちた
単価は決算期の前に交渉すると上がりやすい
金額が伸びた年もあれば、急に落ち込んだ年もありました。
1つずつ解説していきます。
最初の案件は月2.5万円だった
佐藤さんが最初に受注した案件は、月2.5万円のWebサイト運営代行でした。
月に何記事書くかも決まっておらず、発注元は企業ではなく個人です。
実績がゼロの状態では、単価の高い案件を任されにくいのが実情です。
まずは受けられる案件を受け、納品した実績を材料にして次の案件へつなげていきます。
フリーランスの収入は、小さな1件を積み上げるところから始まります。
単価は3年目に月30万円まで上がった
1件で月30万円の案件を受けられるようになったのは、独立して3年目です。
最初の2年は月2.5万円から3.5万円で、1件あたりの単価はゆるやかにしか動いていません。
1件あたりの単価の推移は以下のとおりです。
年目 | 1件あたりの単価 |
|---|---|
1年目 | 月2.5万円 |
2年目 | 月3.5万円 |
3年目 | 月30万円 |
同じ案件を続けているだけで上がる数字ではなく、単価を上げるための働きかけが必要でした。
佐藤さんがしたのは、次の2つです。
単価の高い新規案件を受注する
すでに続いている案件の単価を交渉する
新しい案件で単価の水準を上げつつ、続いている案件も交渉で引き上げると、1件あたりの金額が動きます。
1件あたりの単価が一気に上がるまでに3年かかっているのが、フリーランスの収入の実際です。
年収は4年目に700万円を超えた
年収は、独立して4年目に700万円を超えました。
1年目から4年目までの推移は以下のとおりです。
年目 | 年収 |
|---|---|
1年目 | 約400万円 |
2年目 | 約500万円 |
3年目 | 約600万円 |
4年目 | 700万円超 |
会社員時代の月収を超えたのは3年目で「これで食える」と実感できたのは4年目だったそうです。
1年で一気に増えた年はなく、1年ごとに100万円前後ずつ増えた結果の700万円です。
独立してから生活の不安が消えるまでに、4年ほどかかると考えておきましょう。
大口案件の終了で収入が月15万円まで落ちた
月30万円の案件が1年半ほどで終わり、収入は月15万円まで落ち込みました。
大口の1件が抜けると、残りの案件だけでは生活費に届きません。
結婚したばかりだった佐藤さんは、アルバイトをしながらフリーランスの仕事を続けました。
奥さんにもアルバイトに出てもらい、2人で家計を支えた期間は約1年間です。
アルバイトと並行しながらもライターの仕事はやめず、案件を取り直して収入を戻していきました。
収入が伸びたあとでも、契約が1つ終われば月の入金がここまで下がります。
単価は決算期の前に交渉すると上がりやすい
単価は、取引先の決算期の少し前に交渉を切り出すと上がりやすいです。
次の期の予算を組むタイミングに合わせると、外注費を増やしてもらえる場合があるためです。
佐藤さんが実際に単価を上げたときの進め方を紹介します。
取引先の決算月を先に確認する
決算期の少し前に相談を切り出す
今の仕事の成果を伝えてから金額を出す
ただし単価が上がるのは、取引先の役に立っていると相手が感じている場合だけです。
成果が出ていないまま金額だけを上げてほしいと伝えても、契約そのものを見直される可能性があります。
単価を上げられるようになるまでには時間がかかるため、まずは本業を続けながら副業として小さく始めてみてください。
AIでフリーランスの仕事はどう変わったか
フリーランスの仕事の進め方は、AIの登場でこの数年の間に変わってきました。
変化は以下のとおりです。
文章を書くだけの仕事は減りつつある
作業時間が減り受けられる本数が増えた
AIの出力を判断する力が新たに必要になった
未経験でも短期間で実績を作れるようになった
有利になった面もあれば、新しく求められるようになった力もあります。
参考記事:Webライターの仕事はAIに奪われる?現役ライターが教えるAI活用術
こちらも1つずつ解説していきます。
文章を書くだけの仕事は減りつつある
文章を書くだけの仕事は、AIが広まるにつれて減りつつあります。
たたき台をAIが短時間で出せるようになり、手を動かすだけの作業を外注する必要が薄れてきたためです。
記事の執筆に限らず、動画のカット編集やバナーの量産といった作業でも同じことが起きつつあります。
前述の佐藤さんも「文章を書く仕事はもうほとんどなくなった」と話しています。
現在はClaude Codeで記事を作り、担当しているのは企画・編集・検品だけだそうです。
どの職種で始める人も、作業だけでなく、何を作るかを決めて仕上げるところまで引き受ける前提で考えておくとよいでしょう。
作業時間が減り受けられる本数が増えた
同じ稼働時間で受けられる本数が増えたのは、AIで起きた変化の1つです。
仕上げまでの工程のうち、手を動かす部分をAIに任せられるようになり、1件あたりの作業時間が減りました。
仕事の進め方が以前と現在でどう変わったかを以下にまとめます。
工程 | 以前 | 現在 |
|---|---|---|
情報や素材集め | 1件ずつ探して確認 | AIの要約や生成を起点に確認 |
たたき台作り | 白紙から組み立て | AIの案を見ながら調整 |
仕上げ | すべて手作業 | AIの出力に手を入れる |
検品 | 誤りを目視で確認 | 変わらず人の目で確認 |
記事でも動画でもデザインでも、たたき台を作る部分は同じように短くなりました。
空いた時間を企画や検品に回せば、1件あたりの仕上がりも上げられます。
今から始める人にとっては、本数をこなして売上を高めやすい状況になってきました。
AIの出力を判断する力が新たに必要になった
AIが出したものの良し悪しを判断する力は、新しく必要になったスキルです。
AIがたたき台を作ってくれても、品質を評価できなければ、納品してよいかを決められません。
AIの出力を確認するときの観点は以下のとおりです。
発注者の指示から外れていないか
事実や数値の裏づけがあるか
受け手が知りたいことに答えているか
他人の権利を侵していないか
佐藤さんも「AIの学習をしつつ、ライティングの勉強もやっていったほうがいい」と話しています。
AIを使う力と文章そのものを見る力の両方が、これからのフリーランスには求められます。
未経験でも短期間で実績を作れるようになった
短い期間で見せられる実績を作れるようになったのも、未経験から始める人には心強い変化です。
わからない手順をAIに聞きながら進められるようになり、最初の1つを仕上げるまでの時間が短くなっています。
短い期間で実績を作るための行動を以下にまとめました。
学びたい分野を1つに絞る
練習用の作品を1つ仕上げる
作ったものを実績として見せる
AIを学ぶ優先度を高く置くほど、やりたいことに到達するスピードは速くなります。
実績が早く積み上がる分、まずは副業として小さく始めて、手応えを確かめながら進めていきましょう。
12年で見たフリーランスを辞めた人と続いた人の違い
フリーランス歴12年の佐藤さんが周りを見てきて感じた「フリーランスを辞めた人と続いた人の違い」は、以下の3つです。
続いた人は成果が出るまで諦めない
続いた人は目の前の仕事に手を抜かない
辞めた人はSNSで他人と比べて落ち込みがち
特別な才能の差ではなく、日々の仕事やメンタルとの向き合い方の違いです。
1つずつ解説していきます。
続いた人は成果が出るまで諦めない
続いている人に共通しているのは、成果が出るまで手を止めない姿勢です。
フリーランスの仕事は提案がすぐに通るとは限らず、単価が上がるまでにも時間がかかります。
佐藤さんは「とにかくできるまでやり続けるところしか、フリーランスの成功はない」とも話しています。
ただし、気持ちの強さだけで乗り切る話ではありません。
応募や納品を重ねるほど、通る提案の書き方や、クライアントが求める品質がわかってきます。

会社員からフリーランスのデザイナーになった森本洋至さんも「とりあえずやってみる」をモットーに挙げ、やってみないとその先の景色は見えないと話しています。
2〜3件断られた時点でやめてしまうと、わかりかけていた基準が手元に残りません。
才能よりも、成果が出るまで手を動かし続けられるかで、続くかが変わってきます。
続いた人は目の前の仕事に手を抜かない
佐藤さんは「目の前の仕事に手を抜かずに仕上げてきたから、12年続けられた」と振り返ります。
性格上どうしても手が抜けず、手をかけすぎて利益率が上がらない仕事もたくさん引き受けてきたそうです。
しかし、丁寧に仕上げた仕事がクライアントの評価として積み上がり、次の依頼になって返ってきます。

一方、電機メーカーの営業をしながら副業で動画編集をしている小野翼さんは、1週間かかると言われた仕事を2〜3日で納品するようにしているそうです。
実績が少ないうちは、納期を守る・指示された条件どおりに仕上げるだけでも違いが出ます。
反対に「報酬が低い案件だから」と雑に仕上げてしまうと、次の依頼にはつながりません。
目の前の1件を落とさずに仕上げた人ほど依頼が途切れず、フリーランスとして長く続きます。
辞めた人はSNSで他人と比べて落ち込みがち
SNSで他人と比べて落ち込むのは、フリーランスを続けるうえでつまずきやすいところです。
佐藤さんもXでライバルの投稿を見て、気持ちが沈んだ時期がありました。
「どうして自分はこんなにダメなのか」「自分よりあとに始めた人のほうがうまくいっている」と感じたそうです。
SNSに流れてくるのはうまくいった報告が中心で、伸び悩んでいる時期の話はあまり投稿されません。
会社と違って同僚がいない分、自分の位置を測る材料がSNSに偏りやすくなります。
落ち込みを引きずらないために、以下の行動を試してみてください。
気持ちが沈んだ日はSNSを開かない
比べる相手を先月の自分にする
1日にやる作業を1つに絞る
他人の投稿は進み方の一部でしかないため、成績表のように受け取らなくて大丈夫です。
比べる相手を自分に戻せた人が、フリーランスを長く続けています。
副業として小さく始めれば、本業の収入に支えられながら、自分のペースで進められます。
フリーランスの始め方に関するよくある質問
最後に、フリーランスの始め方についてよくある質問に答えていきます。
未経験やスキルなしでもなれる?
未経験でスキルがなくても、フリーランスへの挑戦はできます。
ただし佐藤さんは、収益化まで届くかはその人次第だと感じているそうです。
スキルがないなら勉強が必要ですし、実績がないなら実績を作るしかないのは、AI時代でも変わっていません。
未経験からでも、勉強と実績作りを続けられる人ならフリーランスを目指せます。
インボイスに登録しないと仕事は減る?
取引先がインボイスを求めているかで、受けられる案件は違ってきます。
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受けるために、登録番号つきの請求書をやり取りする仕組みのことです。
佐藤さんは、取引先から求められたのをきっかけにインボイスに登録しました。
消費税の納税は発生しますが、インボイスがあるおかげで受けられる案件もあり、仕事を受けやすいと話しています。
消費税を納めていなかった人が登録すると課税事業者になり、登録している間は売上の大小にかかわらず消費税の申告と納税が続きます。
参考:国税庁|No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)
しかも登録をやめても、登録した日から2年を経過する日が属する課税期間までは、元の免税事業者には戻れません。
登録するかは、取引先の意向と納税の負担を見比べて判断してみてください。
報酬が支払われないときはどうする?
報酬が支払われないときは、記録を残して請求と相談を順に進めます。
まず前提として、クラウドソーシング経由なら未払いは起きにくい仕組みです。
クラウドワークスは契約が成立した時点でクライアントが報酬を預ける仮払い方式で、検収が終わるとそこからワーカーへ支払われます。
仮払いを確認してから作業を始めれば、支払いを受けられないリスクはかなり下がるでしょう。
気をつけたいのは、紹介や直接契約など、仲介のない取引です。
対応の流れは以下のとおりです。
契約内容とやり取りの記録を保存
支払い期日を示して発注者へ督促
解決しないときは公的な相談窓口へ連絡
2024年11月1日には、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されました。
発注事業者には、取引条件の明示や中途解除の事前予告が義務づけられています。
報酬は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払う決まりです。
副業が禁止の会社でも始められる?
始める前に確認したいのが、勤務先の就業規則です。
副業が禁止と聞いていても、許可制や事前申請で認められるケースがあります。
まずは就業規則の副業に関する条文を読み、判断に迷うなら人事へ確認してみてください。
許可制なら、申請の様式・認められる業種の範囲・申請から許可が出るまでの期間の3つを聞いておくと動きやすくなります。
無断で始めると、就業規則にもとづく処分につながる可能性があります。
副業が認められないうちは、サンプル記事を書いたりAIの使い方を学んだりと、準備だけを進めておきましょう。
まとめ|フリーランスは副業から始めよう
さっそくフリーランスの準備を始めてみましょう。
副業から独立を目指す5ステップは以下のとおりです。
副業にする仕事を1つに決める
必要なスキルをAIを使いながら学ぶ
副業として月1万円の受注を目指す
継続案件を増やして収入を安定させる
副業収入が本業を超えたら独立を検討する
本業の収入を基準にすれば、独立のタイミングを感覚ではなく数字で決められます。まずはステップ1の「副業にする仕事を1つに決める」から、今日のうちに手をつけてみてください。
この記事が、あなたのフリーランスの準備の参考になればうれしいです!


